2018年7月7日
オウム真理教幹部の死刑執行に抗議する
7月6日、上川法務大臣は「鏡を磨いて磨いて磨いて磨ききる気持ちで判断した」と、オウム真理教幹部7人の死刑執行を行いました。
オウム真理教の引き起こした事件の被害者やご家族の方々には心から同情いたします。テロは厳しく非難すべきですが、国家による殺人である死刑執行には強く反対します。死刑は非人道的、残酷で犯罪の抑止効果もありません。
執行された7人のうち6人は再審請求中で、精神疾患を抱える者も含まれ、今、死刑を執行する必要がないのに執行した行為は国家の暴走です。曰く「平成のうちに」、曰く「天皇即位の前に」曰く「東京オリンピック・パラリンピックを前に」等々の理由は、法の正義の下の執行ではなく、明確な暴力的な国家の意志でしかありません。
今回の死刑執行は、6人の再審請求中の状況を無視し、 憲法37条(公平な裁判を受ける権利)及び31条(適正手続の保障)に違反しています。また、精神疾患を抱えている1人には、刑事訴訟法479条(「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」)を慎重に考慮する事もなく行われています。
我が国ではこれまで、4人の無実の死刑囚が長い時間をかけた再審請求により、無罪を獲得しています。その4人目の島田事件の冤罪被害者である、赤堀政夫さんが無罪を勝ちとって29年になります。一方で、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんは、再審請求中の2015年に89歳で無実の死刑囚のまま無念の死を遂げています。
また、清水こがね味噌事件(袴田事件)の無実の死刑囚袴田巖さんは、4年前、再審開始決定により「耐え難いほどの正義に反する」と、確定死刑囚のまま身柄が釈放されました。47年7ヶ月の獄中生活のうち、1980年の死刑確定後は、「冤罪ながら死刑囚」として死刑執行の恐怖におびえる、残酷な日々を過ごしてきました。
去る6月11日、東京高裁大島隆明裁判長は、静岡地裁村山裁判長による再審開始決定を取り消しました。しかし、袴田巖さんの拘置の停止の取り消しは行われず、今もなお死刑執行の恐怖を抱えた妄想による、自分の世界を築き上げた「確定死刑囚」のまま、「市民生活」を送りながら最高裁の判断を待つ事になりました。
今回の死刑執行は、国家の暴力的な意志による「大量殺人」であり、「公開処刑」とも言える、執行予告など重大な人権侵害の何物でもなく、強く抗議し、死刑制度の廃止を求めます。
心の旅の会 会員 寺澤 暢紘
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