2020年12月26日土曜日

東京高裁は早期審理を

 


東京高裁は早期審理を

昨日23日、袴田巖さんの最高裁への特別抗告に対して、東京高裁への差し戻し決定がありました。

決定は、2年前の高裁の不当決定における、5点の衣類の色に関する味噌漬け実験報告書や専門家の意見書の判断について、専門的知見に基づかずに否定的評価したことについて審理不尽の違法があると判断し、高裁の不当決定を取り消さなければ著しく正義に反するとして取消し、東京高裁に差し戻すというものでした。

また、この決定には5人の裁判官のうち2人が、再審開始すべきとの意見を述べ、さらに時間をかけることになる差し戻し決定に反対しています。

私たちは、この間袴田さんに時間的な猶予はなく、一刻も早い再審開始を求めてきました。今回の決定により、審理が引き続きことになりましたが、袴田さんの命あるうちの再審無罪の実現を強く求めます。

 

裁判官2人の再審を開始すべき理由

22日付の最高裁決定では5人裁判官のうち2人が、袴田さんの再審開始をすべきであるとしています。以下抜粋。

 「多数意見は、原決定を取り消すという限りでは、私たちの考え方と方向性を同じくするところがある。しかしながら、私たちは、多数意見を一歩進めて、みそ漬け実験報告書は、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせる新証拠であり、また、多数意見と異なり、本田鑑定についても、再審を開始すべき合理的な疑いを生じさせる新証拠であると考える。そして、私たちは、確定審におけるその他の証拠をも総合して再審を開始した原原決定は、その根幹部分と結論において是認できると考える。このような理由から、単にメイラード反応の影響等について審理するだけに原裁判所に差し戻して更に時間をかけることになる多数意見には反対せざるを得ないのである。」



 浜松袴田巖さんを救う市民の会 




 

20201224

 

最高裁の差し戻し決定に対する声明

東京高裁は早期審理を

 

 

1222日、袴田巖さんの最高裁への特別抗告に対して、最高裁第3小法廷の林道晴裁判長ら5人による審理の結果として、多数意見で大島不当決定を取り消し、東京高裁への差し戻し決定がありました。

5人の裁判官のうち林景一及び宇賀克也裁判官が、再審開始すべきとの意見を述べ、さらに時間をかけることになる差し戻し決定に反対しています。

それは、2年前の高裁の不当決定における、5点の衣類の色に関する味噌漬け実験報告書や専門家の意見書の判断について、専門的知見に基づかず否定的評価したことについて審理不尽の違法があると判断し、高裁の不当決定を取り消さなければ著しく正義に反するとしています。

また、みそ漬け実験報告書は、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせる新証拠であり、また、多数意見と異なり、本田鑑定についても、再審を開始すべき合理的な疑いを生じさせる新証拠であるして、その他の証拠をも総合しての再審開始決定を評価しています。

さらに、差し戻して単にメイラード反応の影響等について審理するだけの差し戻しでは、時間をかけることになるとして多数意見に反対せざるを得ないと意見を述べています。

私たちは、この間袴田さんに時間的な猶予はなく、一刻も早い再審開始を求めてきました。今回の決定により、改めて引き続き身柄の拘束の停止が認められたことになりましたが、確定死刑囚のままでの審理が引き続きことになりました。

東京高裁の早期審理を求め、袴田さんの命あるうちの再審無罪の実現を改めて強く求めるものです。

 

浜松袴田巖さんを救う市民の会


2020年12月14日月曜日

死刑確定から40年 再収監を許さないスタンディングアピール

 



20201212

袴田巖さん死刑確定から40年

再収監を許さないスタンディングアピールから

(アピール途中から)

お年寄りの人が、こういう人生でいいのかなと、まあ、でも私みたいに父親も病気で仕事なんかもできるわけもなく、独身ですし。まあ、結局一生フリーターみたいで終わるような私に、まあ、袴田さんのことを知らせることなんて何もできないわけですが、それでも自分ができるなりに、私の路上活動で袴田巖さんのことを話させてもらったり、こういう方法のお手伝いを、まあ、幟なんかを持つ、お手伝いをさせてもらっています。

 

まあ、実際私もこの浜松で、今年45才ですが、住んできたのに袴田巖さんのことは知らなかったという、市民団体の方々に出会って、初めて袴田巖さんのような人がいるんだということを、無実の犯人の濡れ衣を着せられて、間違って逮捕されて刑務所で何年間も過ごして、自分の人生を潰されたというか、まあ、自分の人生を全うできなかったというか、まあそういう人がいるということを、私も知らないでいたわけで、40を越えて、こういう人が日本とか浜松にいるんだということ知り、自分の勉強不足を知り、と同時に本当に学校とか義務教育とか、テレビとか新聞とかでも、本当に大事なこととか、こういうことが本当に流れていなし、学校でも教えてくれないというか、流れていないというか、本当にこういう日本のおかしいというか、まあ、間違った判断をした警察よりなのか、何かそういう日本の間違ったところも、40歳を越えて分かったというか感じたところです。

2020年9月14日月曜日

52年前の9月11日、袴田さんは死刑判決を受けた

 52年前の9月11日、袴田さんは死刑判決を受けました。この日3回目になる、袴田さんの上告趣意書を読む朗読会を行いました。参加者一人一人が読み合わせ、意見交換をする中で、袴田さんの心中がよく理解でき、中には読みながら涙ぐんでしまう場面もありました。司法権力の残酷な姿が浮き彫りになります。



連日のスタンディングアピール

 袴田さんの再審開始を求める連日のスタンディングアピール。(静岡地裁による袴田さんへの最初の死刑判決は9月11日。9月12日は定例の街頭署名活動日)なお、昨日は34年前に袴田さんが最高裁に提出した上告趣意書の、3回目の朗読会を開催しました。



2020年8月18日火曜日

袴田さん不当逮捕から54年 


                                                                                                                

                                                                                                                         2020818
 最高裁判所第3小法廷 
林 道晴 裁判長殿
袴田巖さんの一刻も早い再審開始決定を求める要請書
袴田さんは54年前の818日、静岡県警によって不当逮捕されました。静岡県警は捜査終了後の報告書で、「犯人は袴田以外にはない、袴田に間違いがないということを強く袴田に印象づけることにつとめる」と、取り調べにあたっていたことが記載されています。捜査に行き詰った県警が、元プロボクサーでアリバイのない袴田さんを、犯人にデッチ上げようとしていたことの証拠に外なりません。
ところで、43年前袴田さんは、無実の訴えを「上告趣意書」として最高裁あて提出しています。この中で、穿けないズボンのこと、ズボンの端切れは警察が仕組んだもの、犯行着衣の2枚のシャツの穴の位置の違いなど、警察の違法捜査を厳しく指摘し、無実の訴えを繰り返し述べています。
また、裁判については「一、二審の誤まった裁判は、必ず、最高裁で正されると確信致すものである」と、期待も抱き、一方で裁判は国民の問題として、「この不当かつデタラメが最高裁に於いて黙視されるようなことがあったら、正義は滅び、国もやがて滅びるであろう」と、述べています。
この43年前の上告趣意書の無実の訴えを改めて受け止め、一刻も早い再審開始決定を求めるものです。
                  浜松 袴田巖さんを救う市民の会
共同代表  渥美 邦夫・寺澤 暢紘

2020818


静岡県警察本部長 山本 和毅 殿


袴田巖さんの54年前の不当逮捕抗議申入書

 
袴田巌さんが身に覚えのない罪で、事件発生から50日後の1966818日に不当逮捕され今年で54年になります。

袴田さんは逮捕から4日後の、822日午後440分から約5分間、清水警察署において弁護人との接見時の会話が、盗聴行為によって「秘密交通権」が侵害されました。
 刑事訴訟法391項は、被疑者・被告人は捜査機関に接見の内容を、知られることなく弁護人と接見する権利として秘密交通権が保障されています。

 このような貴職による違法な接見盗聴は、刑事司法制度の根幹を揺るがす重大な事態であり、静岡県民に対する犯罪行為と言わざるを得ません。

また、袴田さんは殺された専務と格闘した際に、専務から向こう脛を蹴られたと自白させられていますが、逮捕時の身体検査では向こう脛の傷はありませんでした。これは逮捕後の取調の最中に警察官によって作られた傷であり、拷問による自白の強要に外なりません。

貴職による違法な接見盗聴、深夜まで及んだ長時間の取調、拷問による自白の強要、さらには数々の違法な証拠のねつ造などにより、無実の袴田巌さんは犯人に仕立て上げられ、今もなお冤罪は晴れていません。 
 
無実の袴田さんの不当逮捕は、捜査の行き詰まりを隠し、事件解決を焦った結果であり、県民の財産、生命を守るべき貴職の責務を逸脱したもので認められません。
従って、現在審理中の最高裁に於いて、貴職の袴田さんに対する違法捜査の全てを明らかにし、袴田さんの冤罪を晴らすこと強く求めるものです。


              浜松 袴田巖さんを救う市民の会
               共同代表 渥美 邦夫・寺澤 暢紘


2020年8月14日金曜日

不当逮捕から54年抗議行動及び第2回朗読会


2020.8.12
不当逮捕から54年抗議行動及び第2回朗読会について

1 不当逮捕抗議及び最高裁要請行動
(1)  スタンディングアピール
 11時から 浜松駅前にて
(2)  県警あて抗議要請文
   別紙
 (3)袴田さんのはがき

 (4)最高裁要請行動
   ① 最高裁前街頭宣伝
12時から 
    要請行動
13時から
    主催
袴田巖さんの再審を求める実行委員会

2 第2回朗読会
  1330分から コミュニテーカフェPaoにて
(1)   最高裁提出の上告趣意書
1977314日付、90,259文字
1976722日(下書き)
          〃     (素案) 
(2)   上告趣意補充書
    ・1977416日付(調査官指示により資料としない) 約16,000
    ・19771017日付 約6,000
 
   3 袴田さんの逮捕当日の様子が書かれたはがき及び上告趣意書についての袴田さん
の話
(1)   逮捕当日の様子の書かれたはがき
1981511日付 高杉晋吾さんあてのはがきより
(2)   上告趣意書について袴田さんの話
      


逮捕された日の様子



1966
8月、野鳥が鳴き夏花の香しい息吹が天地にみなぎりはじめた早朝、清水市横砂の人通りのない軒軒も決して例外ではなかった。私はこがね味噌の自室でその時、野鳥や静物の息吹を心好く感じながらなお閉眼して寝返りを打った。その直後、おいこら居るか、と言いながら部屋にずかずか入ってきたニコチン臭い男どもが警察機関の者だということは私の第六感は直感した。このような不文律に私は腹立ちを禁ずることは出来なかった。連行したとの機関員らは、その日に取調室にこなかった。直接尋問してきたのは警部・松本であった。これらの暴力的調を行なった刑事らは殆ど初対面であった。ところでいささか不思議だったのは「行きましょう」というものの表情には酷く苦行する修道僧の姿がうかがえることであった。真の理由もなく寝込みをおそって監禁することを職業とする彼らだからこそ例外なくそのこわばり、引きつり、あるいは口に言い現わせない疲労感で歪んでいるのだ。中年のニコチン臭の固まりのような男の指示によって私は車に乗せられ、結局到着した所は、清水警察署であった。    
(昭和56511日付 高杉晋吾さん宛のはがきより)


2020.7.3
上告趣意書の話
 *街歩きから戻った巌さんが一息つくまで約30分ほど待ってからの対話
・大体何時間ぐらい歩くですか
5時間ぐらい歩くんだろうね。
・疲れませんか
5時間位ね
・街の具合はどんなですか
街はねぇ平穏でね
・落ち着いて歩けますか
歩く方はね。自分のペースだからね。自分のペースで歩いているという事だからね。
・飲んだり、食べたりするですか
やってるんだがね
・どんなもの
きんつばなんかね。ジュース、いろんなもの飲んで、金が増えることやってるんだね。
・良いですね。特に気をつけていることありますか
別にないがね
・巌さんに字を教えてもらいたいんですが。(穢の字を見せながら)のぎへんにさいという字。書いた覚えはないですか。
辞典をみにゃ分からんよ。辞典を調べにゃ
・(上告趣意書に書かれている箇所を見てもらい)こんな字
小さいな
・難しい字です。巌さんがたくさん難しい字を書いているので、覚えなきゃいけないと思って。結構字引引いたですか。
そりゃ引かにゃしょうがない
・本で覚えたとかじゃなくて、字引で
字引持ってるからね
・一番難しい字はどんな字だったですか
いろいろあるわね。勉強しだしゃ難しいという事じゃないんだね。字はね。辞典にあるんだからね。辞典を調べりゃ分かるんだね
・書こうとして字が分からないと辞典を引いて
そりゃね勉強するときゃ、したんだね。
・いろんなもの書いたですか
あー毎日書いたんだね。袴田通信でね。
・裁判所にも書いたんですか。
字はもういいっんでね。字は覚えちゃったからいいつっんだ。儀式でね。そこまで書いたんんだね。
・(上告趣意書を見てもらいながら)これなんか覚えてるですか。
どうなのかね。覚えてるはずなんだがね。
・上告趣意書
うーん
・この中にたくさん巖さん書いてるじゃないですか。
うーん
・私一番気になったのは、ゾーリ。
ゾーリ?
・ゴムゾーリ
あー
・あれとっても気になって、本当のこと言ってるなと思って。
ゴムゾーリぐらいじゃ強盗は出来んからね。誰だって。警察だって認めるわきゃないんだから。
・あれ一番私は巖さんが言ってること本当だなと思った。木に登る事なんてできっこないって書いてある。
そういう事なんだ。強盗そのものがね。ゴムゾーリじゃできんよ。初めから。
・証拠はどうなっちゃったんですか。
無いんだね
・おかしいですよね
おかしい
・たくさん考えてたですね。
でっち上げだからね。全て作ったもんだから、警察が。ないんだね、ゾーリでも出さにゃね。履いてるものはね。
・たくさん8万字、7万字くらい書いたですよね。
あーそう
・びっくりしちゃった。これでもかこれでもかと書いてるからね。最近そういうこと思い出すことあります
忘れちゃったね。拷問もなにも忘れちゃったんだね
・それの方が気持ちが落ち着きますか
まあ時間だね。時間が経っていて消えてちゃんだね
・悔しいことないですか、消えてっちゃって
無いんだよね。もう終わったんだね。もうそういうことないんだからね
・それが一番ですね
 ご飯の支度が出来たということで終了。(文責:寺澤)


2020年8月9日日曜日

袴田さんの再審開始を求めて、定例の街頭宣伝。酷暑ではありませんでしたが、日差しを避けて署名の呼びかけを行いました。8月18日は、袴田さん不当逮捕から54年になります。不当逮捕に抗議して、再開された最高裁要請が行われ、浜松では11時から、駅前でのスタンディングアピール、午後は第2回目の朗読会(袴田さんの無実の訴えを読む)を開催します。

2020年7月5日日曜日

上告趣意書のことなど


2020.7.3
上告趣意書の話
 *街歩きから戻った巌さんが一息つくまで約30分ほど待ってからの対話
・大体何時間ぐらい歩くですか
5時間ぐらい歩くんだろうね。
・疲れませんか
5時間位ね
・街の具合はどんなですか
街はねぇ平穏でね
・落ち着いて歩けますか
歩く方はね。自分のペースだからね。自分のペースで歩いているという事だからね。
・飲んだり、食べたりするですか
やってるんだがね
・どんなもの
きんつばなんかね。ジュース、いろんなもの飲んで、金が増えることやってるんだね。
・良いですね。特に気をつけていることありますか
別にないがね
・巌さんに字を教えてもらいたいんですが。(穢の字を見せながら)のぎへんにさいという字。書いた覚えはないですか。
辞典をみにゃ分からんよ。辞典を調べにゃ
・(上告趣意書に書かれている箇所を見てもらい)こんな字
小さいな
・難しい字です。巌さんがたくさん難しい字を書いているので、覚えなきゃいけないと思って。結構字引いたですか。
そりゃ引かにゃしょうがない
・本で覚えたとかじゃなくて、字引で
字引持ってるからね
・一番難しい字はどんな字だったですか
いろいろあるわね。勉強しだしゃ難しいという事じゃないんだね。字はね。辞典にあるんだからね。辞典を調べりゃ分かるんだね
・書こうとして字が分からないと辞典を引いて
そりゃね勉強するときゃ、したんだね。
・いろんなもの書いたですか
あー毎日書いたんだね。袴田通信でね。
・裁判所にも書いたんですか。
字はもういいっんでね。字は覚えちゃったからいいつっんだ。儀式でね。そこまで書いたんんだね。
・(上告趣意書を見てもらいながら)これなんか覚えてるですか。
どうなのかね。覚えてるはずなんだがね。
・上告趣意書
うーん
・この中にたくさん巖さん書いてるじゃないですか。
うーん
・私一番気になったのは、ゾーリ。
ゾーリ?
・ゴムゾーリ
あー
・あれとっても気になって、本当のこと言ってるなと思って。
ゴムゾーリぐらいじゃ強盗は出来んからね。誰だって。警察だって認めるわきゃないんだから。
・あれ一番私は巖さんが言ってること本当だなと思った。気に上る事なんてできっこないって書いてある。
そういう事なんだ。強盗そのものがね。ゴムゾーリじゃできんよ。初めから。
・証拠はどうなっちゃったんですか。
無いんだね
・おかしいですよね
おかしい
・たくさん考えてたですね。
でっち上げだからね。全て作ったもんだから、警察が。ないんだね、ゾーリでも出さにゃね。履いてるものはね。
・たくさん8万字、7万字くらい書いたですよね。
あーそう
・びっくりしちゃった。これでもかこれでもかと書いてるからね。最近そういうこと思い出すことあります
忘れちゃったね。拷問もなにも忘れちゃったんだね
・それの方が気持ちが落ち着きますか
まあ時間だね。時間が経っていて消えてちゃんだね
・悔しいことないですか、消えてっちゃって
無いんだよね。もう終わったんだね。もうそういうことないんだからね
・それが一番ですね
 ご飯の支度が出来たということで終了。(文責:寺澤)

2020年7月4日土曜日

6・30朗読会

 朗読会の新聞記事です。袴田巖さんの無実の訴えを読む企画の第1回を行いました。第2回目は、袴田さんの不当逮捕された日の、8月18日(火)の13時半から、コミュニテーカフェPaoにて行います。

2020年7月2日木曜日

袴田さんが巻き込まれた事件発生から54年



 昨日6月30日で、袴田巖さんが巻き込まれた事件発生から54年目を迎えました。 昨日 雨降りの昼前浜松駅前でスタンディングアピールを行いました。同時に以下の要請書を
最高裁に郵送しました。

2020630


 最高裁判所第三小法廷 
林 道晴 裁判長殿

要請書

54年前の今日、目撃者のいない「清水横砂重役一家4人殺事件」が発生し、静岡県警は「犯人は袴田以外にない。犯人は袴田に絶対間違いないということを強く袴田に印象づけることにつとめる。」との捜査方針で、袴田さんを犯人に仕立ててしまいました。
袴田さんが巻き込まれた事件から、今日で54年目を迎えました。84歳の袴田さんの時間に猶予はありません。貴職の一刻も早い再審開始を求めるため、袴田さんの1976722日付の「上告趣意書」の一部を改めて紹介します。
「本件に於て吉村検事の奪った昭和四十一年九月九日付調書は、右検事の思惑、推測によって架空のことが恰も此の世の出来事のように巧みにデッチ上げ虚構、虚偽をもって本件真相というものを誤魔化し架空のことを列記したものに過ぎません。このような本件犯罪事実については、空論に過ぎない調書に任意性を認めることは人間の誤まちである。裁判官の誤まちで無実の人間を死刑にしてはなりません。本件捜査陣を無法者と原審が認めました。無法者の行なった捜査は総てに於て証拠能力がありません。この点について一、二審の誤まった裁判は、必ず、最高裁で正されると確信致すものである。何れにせよ、裁判官の推定で死罪は許せない。」
袴田さんは釈放から6年が経過しましたが、いまだに死刑確定以降から引き続く精神障害が重くのしかかり、上告趣意書に書かれているような言葉が奪われてしまっています。
前記の「99日付調書」は、拷問を伴う長時間の取調の結果であり、違法捜査の何ものでもありません。東京高裁の再審取消し決定では、証拠開示された取調べ録音テープで暴露された、静岡県警の違法捜査を門前払にしています。
したがいまして、貴職は袴田さんが上告趣意書で訴えている無実の主張を改めて受け止め、直ちに再審開始決定を行うことを強く要請します。

浜松 袴田巖さんを救う市民の会
                   共同代表 渥美 邦夫、寺澤 暢紘




2020年6月25日木曜日

朗読会(袴田巖さんの無実の訴えを読む)



袴田さんが事件に巻き込まれた1966630日から54年が経過しようとしています。袴田さんの無実の訴えはほとんど知られていませんが、控訴棄却後、2カ月を費やして書き上げられた「上告趣意書」、最高裁の死刑判決から8日間で書きあげた「判決訂正申立」、そして「再審請求意見書」があります。
既に84歳になった袴田さんが無実と冤罪告発を訴える、意見書に残された言葉を受け止め、改めて無実を確信したいと思います。多くの皆さんのご参加お待ちしています。






















                                             袴田さん無実の訴え抜粋

・上告趣意書
12審の誤った裁判は、必ず、最高裁で正されると確信致すものである。何れにせよ、裁判官の推定で死罪は許せない」
・判決訂正申立
「最高裁の問答無用の棄却、これらの結果はどこに由来するのか、答えは簡単である。元ボクサーに対する予断と偏見がそうさせたのである」
・再審請求意見書
「当裁判所におかれまして裁判官としての道義的責任を果たして戴きたく、私血の叫び肌あわだつ今日この頃の無念の獄中から万感を抱きつつ衷心より、左記のとおり意見申し上げ再審開始決定を求めます」  

2020年6月14日日曜日

今日は定例の街頭宣伝の日。袴田さんへの最高裁の一刻も早い再審開始を求め、雨模様の午後2時から3時までのスタンディングアピールとビラ撒きを行いました。そのタイミングで袴田さんが通りかかり、駅中を歩く巌さんの穏やかな顔と挨拶を交わしました。

2020年6月11日木曜日

袴田さんの 6・11東京高裁不当決定に抗議し、最高裁に再審開始を求めるアピール


2年前の今日、袴田さんの再審開始決定を取り消した東京高裁の大島決定に抗議して、最高裁の再審開始を求める浜松駅前でのアピール行動を行いました。最高裁への要請文は本日郵送しました。 



                                2020611
 最高裁判所第3小法廷 
林 道晴 裁判長殿

袴田巖さんの一刻も早い再審開始決定を求める要請書
袴田さんに対する、東京高裁大島裁判長らによる不当決定から2年が経過しました。この大島不当決定は、「5点の衣類は犯人が犯行時に着ていた衣類であること、5点の衣類は袴田のものであるということ、この2点の認定が揺るがない限り、他の主張では、確定判決に合理的な疑いが生じるとは言えない」と、静岡地裁の再審開始決定を取り消したものです。
しかし、静岡地裁が新証拠と認定したDNA鑑定を否定することはできません。白半袖シャツの右肩の血痕が袴田さんのものではないことは明らかであり、
袴田さんの右腕に今も残っている傷は、袴田さんが生き抜いて残した無実の証拠です。
ところで、袴田さんは19801119日の最高裁の死刑判決を受け、わずか8日間で「判決訂正申立」を書きあげ最高裁に提出しています。その内容は、袴田さんが一貫して訴えてきた無実の叫びです。
それは、履けないズボンのことであり、真犯人は右上腕部に2か所の傷跡があることであり、5点の衣類を入れてあった麻袋には血が付いていないことであり、5点の衣類にはO型の血液の付着がないことであり、ゴムゾーリには血も油もついていないこと等の無実の訴えです。
 そして、「此の度の最高裁で問答無用の棄却、これの結果はどこに由来するのか、答は簡単である。元ボクサーに対する予断と偏見がそうさせたのである。」と、最高裁を糾弾しています。
いま袴田さんは、新型コロナウイルスの影響が心配される中、これまでと同じように街を歩いています。死刑確定の数年後から、袴田さんの精神的不調が始まり、未だその状況から抜け出ていません。残念ながら袴田さんのこうした状況を、拭い去る事は簡単なことではないと思います。また、袴田さんは83才という高齢であり、最高裁の審理に一刻の猶予もありません。
最高裁は、静岡地裁の再審開始決定の意義を受け止め、即刻東京高裁大島不当決定の誤りを糺し、直ちに再審開始を決定すべきです。

             浜松 袴田巖さんを救う市民の会
共同代表  渥美 邦夫・寺澤 暢紘

2020年5月27日水曜日

街歩きでの休憩中の会話

買い物に行く途中で、アイスクリームを食べながら休憩中の巖さんと5分ほど話しました。
・最近の様子はどんなですか
「終わっちゃったね、終わっちゃった。法律が制定しちゃったんだね。決まっちゃったんだね。全世界のばい菌は死んじゃっうっていうことだね。簡単なもんなんだね。」
・安心してますか
「くそ人間がいなくなっちゃって、そういう決定でございます。」
・浜松に来てどのくらいになるんですか
「どのくらいなんだろうね。5年くらいになるか。」
・6年です
「6年ね。出る事がなくなったんだね。世界で、出る事がなくなって、くそ人間がなくなってしまってね。」
・昔の事思い出しますか。
「昔のね。善悪の問題でね、悪が死んじゃって全部善なって、善で生活するとそういう時代なんだね。」
・巖さんが望んでいる世の中はどんな時代ですか
「善の時代だね。善ならみんなやっていけるというね」
・ボクシングの事思い出すことありますか
「あーボクシングね。ボクシングという時代でね。ボクシングで成功したっていうね。袴田巖がね」
・たくさん苦労もしたでしょう
「あーそりゃそうだね。」
・手紙をたくさん書いたと思うんですけど
「手紙というのは書こうと思えばいくらでも書けるんだがね。書かないことが偉くなる方法だったっていうんだね。袴田巖がね」
・巖さんのはがきを見ると、書いちゃいけないと言われた時があったみたいですけど。
「そうだね。書いちゃいかないで来ているんだね。書いちゃいけないで偉くなってきているんだね。守ってね、守らなければなれねーんだ。」
・それは大事ですか
「大事だったんだね。書かないことで勝ってきたっていうことでね。書かして嘘言って思って勝とうと思うのが儀式だったんだね。ばい菌のね。」
・それが許せないですね
「書き換えられちゃうんだね。書き換えられているということが分からんようになっちゃうんだね。変わった内容で出ちゃうんだね。文章活動では偉くしないっていうことあるんだね。書いたら負けだっていうんだね。それ書かないできたから全部勝ってきたんだ。」
・一番書きたいことは何でしょうか
「自分の勝ったことだね。じゃ!」と再び歩き始めました。

袴田さんの死刑廃止、再審法改正アピール(1980年、1981年)


袴田巖さんの死刑廃絶のアピール
(死刑制度撤廃124集会獄中アピール集より/19080124日)

死刑制度撤廃124集会に向け獄中からアピールを送ります。
 国家が民衆を殺してよいなどと言うナンセンスなことを黙認するわけにはいかない。
 そもそも法律は殺人を最も悪事とも定義しております。然るに、その殺人を国家が法の名に於て執行するとは、正しく今生に於ける極悪の最たるもので絶対許されない筈だ。
 権力者なら殺人を犯してよいなどと言う現代悪法の典型は心ある国民の力で廃絶しよう!


「再審の門を開け!再審法改正!」全国集会(1981718日)への
袴田巖さんのアピール

袴田事件 袴田巖
 本集会にお集まりの皆さんに、獄中からアピールさせていただきます。
 私は昭和41630日未明、静岡県清水市で起こったこがね味噌重役一家4人殺人放火強盗事件で、全く身におぼえのない犯人にしたて上げられた元ボクサー袴田巖でございます。
 昭和43年、一審で静岡地裁は私に死刑を宣告しました。そして、昨年1119日、最高裁は上告を棄却しました。
 現在弁護団、無実のボクサー袴田巖を救う会、友人、家族等の力で再審の請求をしていただいております。
 私は最高裁で上告を棄却された当時、獄中で胸に湧いた悲しみ、明らかなデッチ上げに対する押え難い怒り、そういうものが終日私の脳裏に錯綜していました。うす暗い牢獄の中で、ついには還暦を迎え腰の曲がった老人となってさびしく死んで行く自分の哀れな姿を想像したりしました。私の人生の末路はこんなふうになるのだろうか。
 しかし、身をかかがめて長生きするよりは、堂々と生き、また堂々と進むことが人間らしく、またキリスト者らしい姿ではないかと思う。
 彼、巌窟王吉田石松翁に対する権力の犯罪、さらには世には知られることなく葬り去られた幾多の権力犯罪。金森老や加藤老が居り、現在再審を開始させた免田事件、財田川事件・・・、彼らは一生を雪冤にかけたし、またかけている。これら先輩の不墝不屈の驚嘆すべき勝利への戦いの歴史がある以上、私たち冤罪者は泣いてはならぬ。一途に真心で進撃しようと思う。
 イエスキリストの弟子達、パウロの苦難に思いを致したい。
 私はキリストの福音の中に今日の現実の矛盾と葛藤と苦悩を解決する最も貴重なカギが隠されていると確信する人間である。
 こうしたことに到達した獄中生活とは私にとって大変貴重なものである。不自由な中に自由があることを悟り、心の自由さえあれば身はたとえ獄中にあっても私の口に詩や賛美歌や歌が消えることはない。
 すべての善人の苦しみのなかに生命は限りなく美しく芳香を放つもの。私は自分が無罪であることを知っている。私だけでなく私を取り調べた捜査官はもちろんのこと、検察官も書記官もすべてのことを知っている。
 裁判官にいたるまで私に罪がないことを明らかに知っている。
 当局の偽証、物証の隠とく、真犯人隠とくが暴露することを私は信ずる。
 裏木戸、クリ小刀、この一つの事実からも私の無実は明らかにされつつあります。
 歴史の審判は神の審判であり、本件権力犯罪は神の審判が近く必ず下るだろうと私は確信する。
 ご支援を心から感謝します。


2020年4月12日日曜日

スタンディングアピール

4/11 浜松駅前での定例の街頭宣伝。今日はスタンディングアピールのみ。巖さんはお姉さんと一緒に変わらない街歩きに出かけました。コロナの影響で様々な機能が停止していますが、袴田さんの再審を求める動きを中断させることはできません。最高裁は休むことなく直ちに再審開始決定を!

2020年2月9日日曜日

事件当時風呂場の洗濯機は故障していた


事件当時風呂場の洗濯機は故障していた

1982619日付けの袴田巖さんから斎藤準之助弁護士宛てて書かれたはがきに、こがね味噌工場風呂場の洗濯機が故障していたことが書かれています。
「本件当時故障があり使用不能であったこと。(中略)右洗濯機を使うことはできない状態でした。この事実を裏付けるためには、右工場に入っていた電気屋さんに御調査下さればわかるのではないでしょうか。」という内容でした。
26日の夕方、街歩きから戻ったばかりの袴田さんからそのことを聞いてみました。
帰宅した巖さんの衣類をひで子さんが洗濯するということで、靴下を脱いだところでの会話です。
・巖さんは洗濯をしないのですか。
2020.1.20撮影
 
〇 洗濯ね。やらないか。洗濯は女ができるからね。誰かね。男は不器なんだからね。洗濯やるとなるとね。利益を感じないんだでね。女には感ずるがね。洗濯なんか利益を感じるが、男は感じやせんだね。
・斎藤弁護士のはがきの中に巖さんが住み込んでいたところの洗濯機のことが書いてありましたが。
〇 洗濯。洗濯という問題というと、監獄制度の問題だろうね。監獄じゃやらにゃしょうがないんだでね。
・清水にいたころです
〇 清水にいたころ。こがね味噌じゃやってたね。こがね味噌で洗濯機ガラガラ廻してたね。そういうことはありますね。
・洗濯機が故障していたとか。
〇 洗濯機がやりやすいようになっていたんだね。洗濯をね。
・一人で洗濯していたのですか。
〇 やってたんだね。
・若かったですね。
〇 それくらい頑張らにゃしょうがなかったんだね。洗濯はね。着るものの後ないでね。
・毎日してたんですか。
〇 そんなことはないがね。
・結構汚れたんですか。
〇 夏と冬は違はね。3日に一遍やったかな。
・えらいですね。今は考えられない。
〇 今は、まあこがね味噌行きゃあやるんだろうね。こがね味噌行きゃあみんなやってるんだからね。
・その頃の事思い出すことありますか。
〇 こがね味噌ねー。忘れちゃったね大概。監獄が長いということになってね。
・ひどい目にあいましたね。
〇 まあありゃ修行だからね。神になるための修行だね、あれは。こがね味噌から監獄へ行ったということはね、行くしかなかったということだ。修行なんだね。自分に対する修行があった。耐えれるか、耐えられねぇかということだね。問題はそういう修行にね、警察を相手に闘うしかないという、監獄制度じゃあね、拷問の取り調べをね、それに勝つということだ。どういう方法があるかと、まあいろいろあるんでね。
・負けなかったですね。
〇 本当に最後まで負けちゃうかどうかということだね。自白っていうね。負けちゃうことになっていう。逃げちゃうかっていう、逃げるしかない。拷問じゃ逃げるしかないんだね。警察の拷問にゃね。
・ひどかったんですね。
〇 そんなものあったんだね。向こうも書いてるようにね。事件がないんだから、実際はね。実際何んだからね。書いただけっていうが、それも書けないんだね。実際書けてやしないんだね。書けてやしないから、何とか否認しようっていうことだね、否認して自白調書なんてものは拷問だと。自白してでっち上げだ。裁判所に闘いだね。そんなこと考えていたんだね。
・斎藤弁護士へのはがき読ませてもらって闘っていると思いました。
〇 闘うしかないんでね。事件がない、無罪というそういう根本的なものすごい証拠があったんだね。それを裁判所が隠してきたっていうんだ。長い事ね。
・どうやって苦しい時を乗り越えたんですか。
〇 まあ人間だからね、人間だから、のらくらだよね。のらくら。うそ言っているんだからね、あらゆるうそを言っているんだね。拷問に対してね、あらゆるうそを言っている。何かやれねぇんだね。国家権力相手だからね。国家権力相手だから。拷問の問題があって、のらくら、のらくらうそを言っているんだね。
・拷問は痛い目にあわされたんですね。
〇 拷問っていまさら言ってもしょうがないんだね。さあ顔洗って、と立ち上がる。
この日は以上で終わりました。(文責:浜松 袴田巖さんを救う市民の会 寺澤)