巖さん面会記録 6月26日(水)
病院に着いて巌さんに「何処か行きたい所ありますか」と聞くと「岩水寺に行くことになっているようです」と言われました。
秀子さんが「昨日、姉を50年ぶりに訪ねたから、色々と故郷の思い出が戻って来ているのかもしれないね」と言われ、岩水寺に行く事にしました。
着いてから、ジュースの自販機の前で、「何か飲みますか」と言うと「小便ばかりでるから、コーヒー位でいいか」と缶コーヒーを飲み、「少し散歩しましょうか」と促し、50m位歩くと寺の中には入らず、「そろそろ戻りますか。あまり歩くと疲れてしまうから。」と車に戻り始めました。
秀子さんが「毎日リハビリ始めたからあまり歩かなくてもいいと思うよ」と言っていました。車に乗り込むと「公民館に行くのを忘れたから、公民館に行ってもらえますか」とはっきり、本人の意向を話されました。
「公民館の隣に、靖国神社がありますから」と話し始められました。
秀子さんが「確かに近くに神社があった。中瀬の小学校の近く。姉にあったから、色々思い出していると思う。」と言われ、行ってみました。
神社に着き巌さんに「思い出しました」とた尋ねると「建て物も変わっている」と言われ神社の前で柏でを打って拝礼していました。
「故郷に帰ってきた報告ができましたね」と言うと「やっと故郷の土を踏む事ができました」と満足そうでした。
秀子さんが「もう家はないけど甥が住んでる家があるから、ここまで来たら行ってみます」と話され、突然ですが寄る事になりました。奥さんがいてあげて頂きました。
ご両親の写真の前に秀子さんが連れて行って見せましたが、それほど反応しませんでした。仏壇の前に案内されると柏でを打って「○○の旅人、ここに帰って来ました。」とはっきり言われ、報告していました。
奥さんがお茶を出してくれると「小便ばかり出てしまう」と一口口にすると、5分も立っていないと思われるが、「もう帰りますか」と席を立ち始めました。
慌ててお茶を頂きました。奥さんは、「伯父さん又来て下さい」と言うと「ありがとうございました」と反応していました。
帰りの車の中で秀子さんが「天竜川に行ってみる」と聞かれ「危ない」とあまり記が進まない様子なのでそのまま帰る事にしました。数分走ると「後で天竜川に行けば良かったと後悔してもいけない」と言い出し、川らに行ってみることにしました。
川筋が少ししか見えない位置でしたが車から降りると、散歩していた婦人が「いつもテレビで見ています。本当に良かったですね」と秀子さんに話しかけて来ました。一緒に写真を撮ってもらい、早々に病院に戻って来ました。
車を降りる時は、「ありがとうございました」とお礼を言ってくれました。
図らずも意図されていた故郷コースをたどった時となりましたが、感動的な瞬間でした。(訪問者:安間)
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