2018年4月11日水曜日

浜松 袴田巌さんを救う市民の会会報 №2




袴田巖さんは無実だ!         20184月7日発行
袴田巖さんを救う市民の会会報 No.
    事務局 浜松市中区佐藤1431608   090-92614840

 




東京高裁はきっぱりと即時抗告の棄却を
検察は特別抗告を行わないこと

無駄で無意味な4年間

 4年前の袴田巌さんへの再審開始決定は、犯行着衣とされた5点の衣類が袴田さんの物ではないこと、また、味噌漬けの5点の衣類は、1年2ヶ月間味噌漬けになっていたものではなく、発見直前に投入したものと、捜査機関のねつ造によるものであると厳しい指摘がなされました。
 検察は犯行着衣とされた5点の衣類の内の白半袖シャツについていた血痕が、袴田さんの物でない事を明らかにした、本田鑑定人の鑑定方法が間違っていると即時抗告(異議申立)を行いました。

わざわざ違う実験を
 それを受けた東京高裁は、検察の主張する検証実験を、弁護側の反対を押し切り行うこととし、検察推薦の大阪医大の鈴木広一教授に検証を命じました。
 鈴木鑑定人は実験着手から12ヶ月の時間をかけ、実験結果を裁判所に提出しました。しかし、提出された意見書は裁判官の指示に従わないで行った実験結果をまとめたものでした。
 裁判官の検証実験の目的は、本田鑑定人の行った「選択的抽出法」の是非でしたが、鈴木鑑定人は裁判官からの指示に従わず全く別の実験を行ったものです。
 実験で使われた溶剤も違えば、器材も違い、条件の設定も違うというものでした。一方で本田鑑定人の指導のもと、弁護士と学生が実験を行ったところわずか9時間で再現が出来ました。
 鈴木鑑定はわざわざ違う事をしていたわけで、再審開始決定でのDNA鑑定による、5点の衣類の中の白半袖シャツの血痕は袴田さんのものではないといことに、間違いはないことが改めて確認できました。

開示された録音テープで違法捜査が明らかに

 検察は地裁審理で、袴田さんが自白したという内容の録音テープを1巻だけ「これだけだ」と開示しました。ところが、警察署の倉庫の中から発見されたとして、オープンリール24巻録音時間約45時間分の取調べ録音テープが開示されました。
開示された録音テープの外箱の一つに「822日 No.2 午後440分~45分 岡村弁ゴ士」との記載のものがあります。そのテープには、袴田さんが「パジャマ血がついているとかそう言われても僕はわからないんだ」などと話し、事件とは無関係であることを当時の弁護人に訴えている接見時の会話が録音されています。弁護人との接見を盗聴した公務員職権濫用罪です。         
これ以外にも、取調室への便器持ち込みに関する偽証罪、取調室に便器を持ち込み取調官の面前で小便をさせた特別公務員暴行陵虐罪、犯行着衣とされたズボンの寸法札に関する実況見分調書を偽造した有印虚偽公文書作成罪など、警察官が捜査や公判で数々の「職務に関する罪」を犯していたのです。
こうした録音テープの存在が袴田さん逮捕直後の静岡地裁の段階で明らかになっていれば、袴田さんが違法捜査によって犯人にさせられた事が白日のもとにさらされ、罪に問われる事もなく今の袴田さんが背負わされている残酷な人生はなかったのです。

警察官によるねつ造証拠=逮捕後に出来たすねの傷
犯人である根拠と認定されていた巌さんのすねの傷と履けないズボンの損傷は合致していなかったことが判明!しかも、すねの傷は逮捕後にできた傷であった。
 
 巖さんのすねの傷
かぎ型
196698日撮影)

 はけないズボンの
        鍵裂き¬
19671228日撮影)

巖の自由な時間を奪わないで   袴田ひで子
再審開始決定から3ヵ月後の2014629日から、巖との暮らしが始まりました。
「世界で一番強い者として認められ、世界で一番優れた者として認められ、世界で一番正しい者として認められ、歴史は終わった」と、巖は獄中からの解放を自力で勝ち取ったものとして、自分の世界を作り上げています。
再審開始決定の日、意味も分からず待たされた部屋のドアの向こうから、巖が出てきて、ソファに座りながら「釈放された」という言葉を聞いて、何が起きたかと思いました。無表情で、何を考えているのか分からないような、その日の巖の状態から比べたら、最近では表情は大きく変わり、笑顔も沢山出るようになってきています。大変嬉しく思っています。
このままの巌の自由な時間が過ぎてくれることを望んでいます。食べたい物を食べ、出かけたいときに街に出かけ、疲れたら休む、眠りたいときに眠るという、巖が長年闘って手にした自由な時間を続けさせてやりたいと思います。
今では、毎日のように浜松の街を5キロから6キロを56時間かけて歩いています。傍から見ると散歩をしているように思いますが、巖の心は獄中のままで、気ままに時間を過ごしているようには見えません。
事件から半世紀が経ち、身に覚えのない罪で裁判にかけられ、死刑囚にさせられた恐怖が今も続いていると思います。裁判は時間がかかっていますが、巖の健康を守りながら、皆さんのご支援を頼りに、巖との二人三脚で「そうはいくかよ、負けてたまるか」と、心を強くして進みたいと思います。(2017年9月26日 証人尋問の日のメッセージより)

袴田巌さんの再審を開始せよ! 
2・24全国集会
2月24日(土)東京水道橋のYWCAで、「袴田巖さんの再審を開始せよ!2・24全国集会」が開催されました。
 集会には浜松からバスを貸し切り13人が参加しました。また、巌さんが思いもかけずお姉さ んに連れられ集会に登場し、集まった支援者の熱い声援を受けました。
 3月の決定が予想される中での集会で、検察の即時抗告の棄却が望まれるものの、最高裁への特別抗告、さらには巖さんの再収監をさせないことを求めるための集会でした。 
西嶋弁護団長から「高裁決定は、再審開始しかあり得ない」と題して報告が行われました。その後、巌さんとお姉さんが大勢のメディアのカメラマンに囲まれて挨拶がありました。
巌さんとひで子さんの挨拶の後「特別抗告をさせないリレートーク」があり、評論家の江川紹子さん、作家の雨宮処凜さん、狭山事件の石川一雄さん、足利事件の菅谷利和さん、関東学院大教授の宮本弘典さん、福岡事件支援者の古川龍樹さん、ボクシング協会の渡辺会長と新田事務局長、フォーラム90の深田さんたちから、巌さんへのメッセージがありました。
 さらに、巖さんのドキュメンタリー映画を作った監督の金さんと、歌手の小室等さんが対談して、現在作成中の「冤罪音楽プロジェクト イノセンス」について語られました。そして、懐かしい「木枯らし門次郎」のテーマ曲などを小室さんが歌ってくれました。
 そして、集会アピールの採択に合せて、参加者が手に手に「再審 無罪」のプラカードが掲げられ、盛況の内に閉会しました。
      生あるうちに再審無罪を!
= 袴田巌死刑囚救援議員連盟緊急総会 =
 年度内の決定を見越して、議連の緊急総会が、319日(月)衆議院第2会館で開催されました。塩谷会長から「公正、公平な司法判断と早期再審開始を求めていく」との開会あいさつの後、出席した各党世話人と3人の顧問が次々とあいさつされました。
 議連立ち上げの原動力であった元議員の鈴木宗夫顧問が「立ちあげた者として、最後まで責任を持って、正義の道を切り開きたい」と、元会長の牧野顧問が「この問題は司法の問題であり、政治の問題である。超党派で袴田さんの命を守る」とあいさつがありました。
 その後、弁護団及び支援者から議連に要請書が手渡され、塩谷会長から「しっかり受け止め行動していく」との挨拶が述べられました。
 その後、弁護団報告が西嶋弁護士から行われ、続いて、ひで子さんから「巌の48年のつらく苦しい思いを最近ひしひしと分かってきた。可哀そうで、好きな事をさせている。再審開始にならないかと期待している」とあいさつがあり、総会決議が採択され閉会しました。

the最終ラウンド
    ボクシングチャンピオンたちが要請行動
1月22日(月)の東京は雪でした。この日全国から集まった輪島功一さんなどの、ボクシングチャンピオンたち60人が東京高裁前で、「フリー袴田」など大声で、袴田巖さんの再審開始を求めた一大イベントが行われました。
 冷たい雪が降りしきる中、次から次とボクサーたちの高裁前で のアクションが続き、終了後代表者20人が、高裁への要請行動を行いました。
 その後、司法記者クラブで、輪島功一さんなどボクシング協会の代表者による記者会見が開かれました。

高裁決定後、巌さんの故郷浜北で報告集会の開催を予定しています。
5月連休明けで・・・

 


映画「獄友」上映のお知らせ
4月21日から5月1日まで  浜松 シネマイーラにて
 袴田巖さんのドキュメンタリー映画「夢の間の世の中」の金監督の、冤罪シリーズ第3弾の映画が完成しました。
自分たちのことを「獄友(ごくとも)」と呼び、獄中での野球や毎日の食事や仕事のことを懐かしそうに語り、笑い飛ばす。そこには同じ殺人犯という濡れ衣を着せられた「冤罪被害者」という立場だからこそわかり合える時間があった。そしてなぜ「自白」したのか、獄中で何があったのか、娑婆に出てからのそれぞれの人生と友情を追う。いま、 "ごくとも"たちは、"青春"のまっただ中にいる。
21日は、金監督とひで子さんの舞台挨拶があります。
全国共通特別鑑賞券(1300円を1000円で)を同封の送金票でお申し込みでください。送金あり次第鑑賞券を郵送いたします。
映画に登場する獄友たち5人で獄中155年
獄中29年「布川事件」桜井昌司
1967年、茨城県で起きた「布川事件」の強盗殺人犯にでっち上げられたふたり。無実を叫び続けた29年間の獄中生活の後、仮釈放。2009年再審開始。そして2011年無罪が確定。釈放後それぞれ結婚。杉山さんは2015年病死。
獄中29年「布川事件」杉山卓男
1967年、茨城県で起きた「布川事件」の強盗殺人犯にでっち上げられたふたり。無実を叫び続けた29年間の獄中生活の後、仮釈放。2009年再審開始。そして2011年無罪が確定。釈放後それぞれ結婚。杉山さんは2015年病死。
獄中17年6ヶ月「足利事件」菅家利和 
1990年に栃木県で起きた「足利事件」で4歳の女児殺しの犯人にでっち上げられた。獄中生活は17年6ヶ月。2009年におこなわれたDNAの再鑑定で無実が証明され、再審開始を前に釈放。2010年、再審で無罪が確定。
獄中31年7ヶ月「狭山事件」石川一雄
1963年埼玉県で女子高校生が殺害された「狭山事件」の犯人として、不当な捜査によって逮捕される。1964年一審死刑、1977年無期懲役確定。その後、1994年仮釈放。獄中生活は31年7ヶ月に及んだ。現在第三次再審請求中。釈放後結婚した早智子さんとともに、無実を訴え続けている。
獄中48年「袴田事件」袴田巖
1966年、静岡県清水市で味噌会社専務一家4人が殺され放火された、いわゆる「袴田事件」で犯人にでっち上げられた。1980年死刑確定。その後も無実を訴え続けた。2014年、ようやく静岡地裁において再審決定され、48年ぶりに釈放。検察が即時抗告したため今も死刑囚のままである。現在は、姉の秀子さんと浜松市で暮らす。
★ ★ ★ カンパのお願い ★ ★ ★
多くの皆さんからの温かいご支援をいただき感謝申し上げます。
2017年の1年間で186,381円の送金カンパをいただきました。貴重なカンパは巖さんの誕生祝や活動費に使わせていただきました。
引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いたします。
   カンパ送金先 
ゆうちょ銀行 浜松船越 浜松 袴田巖さんを救う市民の会 
《 浜松 袴田巖さんを救う市民の会 》
連絡先/浜松市中区佐藤1-43-1-608 ℡ 090-9261-4840

口座記号番号 00890-7-183799


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